今の日本でも、格差の急激な拡大は天井知らずに進んでいる。フランスもそんな状況になってきたようだ。
ディプロ2007-10 - En France, retour aux privileges fiscaux de l'Ancien Regime
『累進所得税という平等化を象徴する制度は、普通選挙制に100年あまり遅れて確立された。この税制改革は、 財務大臣ジョゼフ・カイヨーの発案により、国会における激しい議論を経て、左派の支持の下に1914年7月2日法として可決された。まさに市民権の根幹と なる法律であり、普通選挙を通じて決定された公共政策の費用は、一人一人の市民が担税力に応じて負担するという原則がここに確立された。市民は誰でも(裕 福な人も貧しい人も)、それぞれの必要に応じて公共財産を無料で(あるいは廉価で)利用する権利を持つ。そして、この権利は、市民それぞれが財力に応じて 資金を負担する義務を伴う。』
『一人一人の市民が担税力に応じて、累進税によって国民的連帯の費用を負担するという原則は、第一次世界大戦 を経て強固に確立された。1915年には2%だった最高税率は、戦後の財政難に直面した1924年には90%にまで引き上げられた。次いで40~50%に 引き下げられ、第二次世界大戦が勃発した1939年に再び90%となった後、1945~75年の高度成長期には60%弱で安定推移した。』
『所得税が国民負担率全体に占める割合を比較すると、北欧モデルの筆頭であるデンマークでは53%である。英国は30%、米国は42%である。
最近20年ほどの間に取られた各種の措置により、フランス税制の再分配機能はさらに弱められてきた。社会党のロカール首相(1988~91年)は、法人 税率を50%から34.3%に引き下げた。社会保障総合税を創設したのもロカールである。その対象は個人の資本所得なども含み、社会保険料より幅広い。と はいえ、この税が保険料に比べて公平だとは言えない。比例税であり、世帯単位で課されるわけではなく、裕福な人にも貧しい人にも、子供がいる世帯にもいな い世帯にも、同じ税率が適用されるからだ。社会保険料の企業負担分と本人負担分の引き下げに伴って、社会保障総合税の比重は増している。そこに象徴されて いるのは、社会保障財源の税シフトである。』
『二極化が拡大した原因は、超高給と資産所得の爆発的な増大である(7)。 最富裕世帯では所得の10%を資産所得が占めているのに対し、そんな余裕のない低所得世帯には貯蓄がない。フランスに浸透した新資本主義の下で、10%の 最富裕世帯の所得は「申告」ベースで1998年から2005年の間に32%上昇した。同じ期間に、残り90%の世帯では4.6%しか上がっていない(8)。所得の中央値、つまり月収1500ユーロ未満の文字通り「中ぐらいのフランス人」の所得の伸び率は、年間0.6%にとどまる。年2%のインフレ率を加味すると、紛れもない中間層の実質所得はむしろ下がっているのだ。』
日本もよく似た状況だなぁ。介護保険なども一律にとられるから、低所得者層にとっては痛いし、・・・まあ、こういったことが学校給食費の支払いをしないとか、病院の診療費を払わずにしらばっくれるとかに、つながっていないとは言えないのかも知れない。日本人のモラルの低下を叫ぶだけでは解決しない問題なのかも知れない。
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