東京裁判の公式記録に、従軍慰安婦問題の詳しい資料が残されているという記事。
企業リスク対策(第75回)[大前 研一氏]/SAFETY JAPAN [コラム]/日経BP社
『 そもそも安倍首相になってからの政府は、右よりの発言が急に増えてきたように感じる。従来の日本政府は、日本軍が慰安婦に関与していたことを認める、いわゆる「河野談話」を支持してきた。ところが安倍首相や彼の周辺にいる下村博文官房副長官のような人たちは「軍が従軍慰安婦を強制的に連行したという証拠はない」と、日本の関与を否定する発言を繰り返しているのだ。このような発言を繰り返していたらどうなるか。いまや米国経済にとって一番の「上客」は日本ではなく中国である。となれば米国は今後、中国の意向をくんで、日本に対して今以上に強い態度で批判してくるだろう。
安倍首相およびその周辺からは、従軍慰安婦の問題だけでなく、第二次世界大戦での日本軍を正当化するような発言も多い。では仮に、米国の大統領などが同じようなことを言い始めたらどうだろうか。「第二次世界大戦での原爆投下は正しい」「東京大空襲は間違いではなかった」と発言したら。恐ろしく不愉快な気分になるであろうが、日本軍を正当化する以上はそれも甘受せねばなるまい。 』
『 ところが、ここに来て、安倍首相や彼の取り巻きをあっと驚かせる新事実が飛び出した。林博史・関東学院大教授が米国の新聞で発表した論文である。
それによると、第二次世界大戦直後の東京裁判において、オランダ、フランス、中国などが提出した資料に、日本軍に強制的に連行され、従軍慰安婦として働かされたことを示す資料がたくさんあるということだ。それによると、地元警察に捕まってそのまま日本の収容所に連れて行かれて慰安婦にされた話や、現地の女性を拘留した理由として、売春宿に入れるための口実だったと日本軍が答えた調書などが数多く残されているとのことだ。』
『 先日、わたしはフィリピンのシアゾン駐日大使と、この問題について話し合う機会があった。彼の奥さんは日本人である。また大の親日家としても知られている。その彼が「これは大きな問題だ。安倍首相は本気でそのようなことを考えているのか」と強い態度で、安倍首相や彼をサポートする人たちの危険性に言及していたのである。
彼の言い分はこうだ。「フィリピンは、第二次世界大戦でアジア各国を戦禍に巻き込んだ日本を許した。その結果、日本とフィリピンの関係は極めて友好的になった。ところが、そのフィリピンでさえ、慰安婦問題は我慢することができないのである。あくまで日本が、従軍慰安婦問題は軍の強制ではなかったと言い切る態度を通すのであれば、フィリピンは強く抗議し、対峙しなくてはいけない」。アジアで最も友好的な国でさえもそうした国民感情を持っている。韓国や中国だけではないこと、米国でさえも最も神経質になるテーマであることを首相は知るべきである。 』
安倍首相はもはや禁断の木の実を食べてしまった。
水曜日, 5月 02, 2007
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