月曜日, 3月 26, 2007

「密息」という呼吸法

日経サイエンスの2月号で茂木健一郎さんが中村明一さんと対談している。
尺八奏者の中村明一さんは尺八が非常に珍しい楽器ということを正弦波だけで構成されている音からホワイトノイズまで出すことができるということを、茂木さんの前で演奏して説明している。
尺八は歌口の口径が大きいために、非常に大量の息が必要であることから、西洋の腹式呼吸と密息との違いを写真入りで説明している。
着物を着ていた頃の日本人は意識しないでみんな密息のような呼吸法をしていたらしい。ベルトと違って、着物の帯は腰で締めていたから、そのような呼吸法を自然と身につけていたものらしい。
中村さんはこう言っている・・・、
『吸うときは横隔膜だけを下げて、吐くときに横隔膜だけ上げる。体躯の大きな構造を動かさないので、上達すれば呼吸時に瞬時に大量の空気が体内に入るのです。ただそのためには、吐くときに横隔膜をお腹から引き離すようにしないと行けないので、深層筋を鍛えておく必要があります。昔の日本人はそういう筋肉をしっかり持っていたわけですけれども、現代人はそれが衰えているので、こうした伝統的な呼吸法ができなくなってきていると言うことです。』
そして、こうも言っている・・・、
『西洋の腹式呼吸とは全く違って、瞬間的に大量に息が取り込める。体も微動だにしないので、発する音は定規で引いたようにまっすぐで伸びやかです。しかも、密息をマスターすると、世の中の見え方が変わってしまって、すべてが励起しているような感覚が得られる。』
中村さんは理科系の出身で初め化学会社に就職したが、自分の意図することを研究できなかったので、音楽の道に進んだらしい。バークレー音楽大学に奨学金を受けていき、ビバップを尺八で吹いたり、フルートの授業を尺八で受けたらしい。
中村さんの言うには、腹式呼吸では、気づかないけれども常に体が動いている。ところが密息を会得していると、全くどこも動かないから、景色の全体を見ながら、その中のどこかを見つめようとしたときも、その瞬間にすぐ焦点が合う、日本の庭はそういったものの見え方から作られたのではないか・・・と。密息をしながら見る日本庭園は驚くほど違って見えるそうだ。

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SHISHAMOとジャズのリズム

SHISHAMOの武道館でのライブを記録した,ブルーレイディスクを聞いている。SHISHAMOの曲の詞はメロディーに乗せるのがジャズのリズムになっている気がしてしょうがない。そう,これらの詞はジャズのインプロビゼーションそのものだ。