月曜日, 10月 15, 2007

文化なき経済の弱点

ヨットレースを引き合いに出して、文化論を述べているのだけれど、「経済を支えるのは文化である」ということを強調していて、現在の日本の世界の中での位置を確認している。

文化なき経済の弱点 (宮田秀明の「経営の設計学」):NBonline(日経ビジネス)
『EUをリードする各国政府の経営は、日本の政府のビジョンも戦略もない経営と比べれば、はるかに優れている。しかし、それだけではなく、EU文化の 力強さが経済にも表れたと見ることもできる。経済の上位概念としてしっかり文化を守り育てているのがEUと言えるかもしれない。
 文化よりお金を尊重する米国社会というイメージは短絡的すぎるかもしれないが、米国流の社会モデルよりも、経済と文化を両輪として考えるEU的価値観による社会モデルをもっと理解した方がよいのではないだろうか。
 140年前に明治政府が行ったように、もう一度EUの行政モデルを学習すべきとさえ思う。
 「しっかりした文化が経済を支える」。「しっかりした経済が文化を支える」。このことを示しているのがEU社会だろう。
 日本でも、江戸文化が明治以降の経済発展を支えたという説は否定できないだろう。逆に、現在の中国の急激な成長の不安要因は実は、中国文化の未成熟さかもしれない。
 日本では、経済と文化の関係は、過去60年間、強大な米国の影響力によって軽視され続けてきたと言えるかもしれない。21世紀になって、アジアの発展と並行して進められたEUの新たな進歩から、改めて経済と文化の相乗効果を認識しなければいけない時にきていると思う。』
『科学と技術は創造するものだ。同じように経済も経営も創造するものだ。伝承すべきもの、守るべきものである以上に創造しなくてならないものだ。その 中で実は文化も創造されていることを忘れてはいけない。それが健全な社会の進歩と言えるだろう。すべての組織と個人が、経済だけでなく文化も創造すること の大切さを意識し続けることが大切だ。
 日本では、文化といえば歴史や文学や芸術のことを考えてしまう傾向が強い。科学の文化も技術の文化の大切さも、もっと認識してほしい。ほんの一例 だが、海洋文化は太古には漁師や海賊たちの文化だった。今では、海という自然を舞台に進歩した科学と技術と人間が作る文化なのだ。』

現在の日本社会の制度疲労は、この「すべての組織と個人が、経済だけでなく文化も創造すること の大切さを意識し続けることが大切だ。」という部分が、日本にはなくなってしまったのかも知れない。事は、経済や海洋文化だけではなく、教育や社会の常識という分野にも同じようなことが言えるのではないだろうか。
最近の政治の世界の動きや、相撲界の不祥事や、親子間の殺人事件の多さに見る、日本社会のこの混沌さをどのように見たらいいのだろうか。中国と同じように、かつて確固としてあった日本文化が、今やすっかり忘れ去られてしまったのだろうか?

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SHISHAMOとジャズのリズム

SHISHAMOの武道館でのライブを記録した,ブルーレイディスクを聞いている。SHISHAMOの曲の詞はメロディーに乗せるのがジャズのリズムになっている気がしてしょうがない。そう,これらの詞はジャズのインプロビゼーションそのものだ。