『大相撲夏場所の千秋楽で、朝青龍と白鵬の両横綱が結びの一番の後、にらみ合いをして多くのフアンの郷麟を買った。日本相撲協会の北の湖理事長が、横綱審議委員会の進言を受けて両横綱に厳重注意したが、全力士の模範になるべき横綱の「品格」を疑わせる出来事であった。』
『第二十五代横綱双葉山は、六十九連勝を成し遂げて、角聖といわれ国民的英雄であった。その双葉山が戦後の一時期に、ある新興宗教に入信し、食糧管理法違反容疑で逮捕されるという事件があった。角聖と崇められた横綱でも、品格を問われることもある。』
『谷風と同時代に、雷電為右衛門という強豪がいた。殺人的な力で相手をなぎ倒し、九割六分二厘という驚異的な勝率を残すが、ついに横綱にはなれなかった。相手に大怪我をさせて再起不能者まで出すのはよくないというのが理由とされている。品格を問われたものと思われる。』
「横綱の品格」(双葉山著)という本がある。大鵬が「序に寄せて」という一文を書いている。昨今の相撲界について、「いわゆるスポーツアスリートとしての感覚が濃厚になっている。」としながらも、先のシゴキ、イジメによる若い力士の死亡事件にも触れている。今まで伝統的に使ってきた「可愛がる」という言葉の意味が誤解されてしまっていることを嘆いている。また、今の人たちは付き合いやすい人とだけ交わり、人生の大先輩達の話を聞く機会がなくなっているのではないかとも言っている。
本文の中で、双葉山は、昔の節会相撲、武家相撲、勧進相撲について触れている。現在の横綱が日本人ではないのだから、日本の歴史に疎いのは仕方ないとしても、せめて部屋の親方は、日本古来からの相撲の伝承ぐらいは、話してやったらどうだろうか?もっとも、親方も知らないとしたら論外の話だけど…。
参考:岐路に立つ大相撲
:横綱の歴史
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